ジン業界 2026年5月の5本 ― Pernod合併白紙、Gordon's RTS、Cygnet出資、Gin Guild拡大、アフリカ蜂蜜ジン

2026年5月、海外スピリッツ業界の話題は「大手の再編」と「小さなクラフトの台頭」が同時並行で進む不思議な月になりました。ロンドンの Gin Guild が春の総会で 31 社を新規メンバーに迎え、ベルギー・ウェールズ・アフリカからまったく異なる手触りの新銘柄が顔を出す一方、北米最大級の合併話は一度白紙へ。今日はその 5 本のニュースを、The Drunken Horse Gin の目線でまとめます。

1. Gin Guild に 31 社が新加入 ― ジン市場は「縮みつつ伸びている」

4 月 30 日、ロンドンのギルドホールで開催された The Gin Guild の春のレセプションに、世界各地から 31 の新規メンバーが招き入れられました。総会員数は 642 社に達し、Citadelle Gin、Never Never Distilling、Black Forest Distillers、Papa Salt Coastal Gin、Boatyard Distillery など、聞き覚えのある名前が並びます。次の主要イベント「Ginposium 2026」は 6 月 12 日に RSA House で開催予定です。

ただし、市場そのものが一様に伸びているわけではありません。Gin Guild と業界統計が示すのは、ドイツ市場が前年比 -8% で縮小する一方、イタリア市場は +15% で成長しているという地域格差です。「成熟市場では飽和、新しい市場ではこれから」という、ジンの世界地図そのものが書き換わっている最中の景色です。

The Drunken Horse の目線

ジンが「全体としてどうか」だけを見ると、いまの面白さを取りこぼします。実際にはドイツのジントニックから読者の関心が離れる一方、イタリアのアペリティーボ卓上にジンが食い込む、というように 場面ごとに勝ち負けが分かれている のが 2026 年。私たち The Drunken Horse Gin は、ベルギー・フレムデの蒸留所 Gentlemen's Craft が手仕事でつくる小さな造り手として、こうした地殻変動の中で「物語と土地のあるジン」を選んでもらうことを意識しています。

2. Diageo が Gordon's の RTS スプリッツを 2 種同時投入

Diageo は Gordon's ブランドから、注ぐだけで飲める Ready-to-Serve スプリッツを 2 SKU 発表しました。Elderflower & CitrusWatermelon & Berry の 2 種類で、ともに ABV 8.4%、75cl ボトル(約 5 杯分)、英国のオフトレード(小売)でメーカー希望価格 GBP10 前後。Tesco に先行入荷し、5 月から Sainsbury's と Asda の棚にも並ぶ予定です。

注目したいのは、これが昨年の「Gordon's Spritz Edition」(プロセッコで割る前提のミキサー型)と別ラインで並走すること。「自分で割らせる」ではなく「もう割ってある」に寄せた商品は、ジンというカテゴリの底面を一段押し下げる商品設計です。

数字で見る Gordon's RTS Spritz

  • SKU: 2 (Elderflower & Citrus / Watermelon & Berry)
  • ABV: 8.4%
  • ボトルサイズ: 75cl / 約 5 サーブ
  • SRP: GBP10 前後(約 US$13.51)
  • 初出荷: Tesco、その後 Sainsbury's / Asda(2026 年 5 月〜)

The Drunken Horse の目線

RTS スプリッツの広がりは、ジンの入り口を増やす良い動きです。一方で、入り口を通り過ぎた人が次に出会うのが「もう一段香りが立体的なクラフトジン」だと信じています。The Drunken Horse は 12 種類のボタニカルにヒマラヤ/ネパール産のティムットペッパーを含めて、グラスの上でジントニックの香りを一段持ち上げる設計。Ready-to-Serve の後に座る選択肢として、私たちの場所があると思っています。

3. Pernod Ricard × Brown-Forman の「対等合併」、4 月 28 日に終了

3 月 26 日に Pernod Ricard と Brown-Forman が「対等合併(merger of equals)」の協議に入っていることを正式に確認したニュースは、業界に走った最大級の地震でした。実現していれば時価総額ベースで 300 億ドル級の世界的スピリッツ持株会社が誕生する話で、Jameson、Absolut、Havana Club、Beefeater、Malibu、Mumm、Perrier-Jouët を抱える Pernod と、Jack Daniel's、Woodford Reserve、Old Forester、Finlandia を抱える Brown-Forman の合算ポートフォリオは圧倒的でした。

しかし 4 月 28 日、両社は「主要条件で合意に至らず、協議を打ち切る」と発表。途中、Wall Street Journal が Sazerac(Buffalo Trace のオーナー)が Brown-Forman に対し 150 億ドル規模の買収提案を持ちかけていたと報じており、これが交渉の構図を一段複雑にしたとされています。両社は今後それぞれ独立して、激しさを増すグローバル市場の戦略を組み直すことになります。

The Drunken Horse の目線

大手の再編が話題になるたびに、小さなクラフトの居場所はかえって明確になります。「規模で勝てないなら、物語と土地で勝つ」という、もう何度も言われてきた原則をもう一度確認させてくれるニュースです。Gentlemen's Craft のあるベルギー・フレムデの 3 人の造り手(Benoît, Tom, Pieter-Jan)は、こうした合併ニュースを横目に、独自設計の蒸留器の前で 12 種のボタニカルを煮詰めることを 2026 年も続けています。

本記事で触れている The Drunken Horse Gin は、 日本公式オンラインショップ から購入可能です。

4. Robb Report がウェールズ発 Cygnet に出資 ― 「ライフスタイル誌 × クラフトジン」の新パターン

米国の高級ライフスタイル誌 Robb Report が、ウェールズ発のウルトラプレミアムジンCygnetにマイノリティ出資したことを 1 月末に発表。出資額は非公表ですが、Robb Report のコンテンツ・読者層と、Cygnet のブランド世界観を結びつける戦略的提携と位置づけられています。

Cygnet は 2023 年に英国で創業し、2025 年秋に米国市場へ参入したばかり。創業者はクラシック歌手の Katherine Jenkins OBE と、ソーシャル・インパクト・アーティスト/フィルムメーカーの Andrew Levitas という、いわゆる「酒業界の外側」から来たペアです。商品ラインは22 種ボタニカルのフラッグシップ Cygnet 22、ウェルッシュ・ウィスキー樽で熟成させた Cygnet 77、12 種ボタニカルの普及ライン Cygnet Welsh Dry Gin、そしてノンアルコールの Cygnet Infinity の 4 本柱。会長には元 Campari Group CEO の Matteo Fantacchiotti が就任しています。

The Drunken Horse の目線

ライフスタイル媒体が銘柄に「金」だけでなく「読者」と「世界観」を持ち込む構図は、これからの小規模ジンにとって参考になるモデルです。The Drunken Horse Gin が大切にしているのも、ボトルそのものではなく その横で語られる物語。サンフランシスコ・香港・シュトゥットガルトという 3 都市の国際品評会で金メダルを獲ったことも、私たちにとっては「数字」よりも「外の目から見た物語の輪郭」として意味があります。

5. アフリカ初の本格ハニージン「Alvearium」が見せる別の輪郭

もうひとつ、ジンの地図を広げる小さなニュースを。アフリカで野生の蜂蜜から商業ベースで蒸留される唯一のジンAlvearium Ginが、2026 年に入り国際的な評価を集め始めています。「蜂蜜由来のスピリッツを商業規模・かつスケール可能なやり方で生産している」のは、アフリカ大陸でこのプロジェクトだけ、と紹介されています。

蜂蜜という素材は、地域生態系と分かちがたく結びついた原料です。Alvearium のような蒸留所が成立するということは、産地、養蜂家、流通、そして国際的な高級スピリッツの棚が、ようやく一本の線で繋がり始めているということでもあります。

The Drunken Horse の目線

ジンの面白さは「どこから来たか」が原料単位で語れることです。アフリカの蜂蜜、ベルギーの伝統穀物、ヒマラヤのティムットペッパー ― 由来と造り手の哲学が透けて見えるジンが、世界中で同時に増えています。私たち The Drunken Horse は、ボトルの中身を語る言葉に責任を持つブランドであり続けたいと考えています。

今月のニュースをひと言で

2026 年 5 月のジン業界は、「大手の再編」と「小さなクラフトの輪郭」が同時に動いた月でした。Pernod × Brown-Forman の合併が流れ、Diageo が RTS スプリッツでカテゴリの底面を広げ、Robb Report がライフスタイル文脈から Cygnet に資本を入れ、Gin Guild は 31 社の新規メンバーを迎え、アフリカからは蜂蜜のジンが世界の棚に届きはじめています。スケールの両極で起きているこの動きの真ん中に、ベルギー・フレムデの私たち The Drunken Horse Gin もまた立っています。

ベルギー発、物語のあるクラフトジン

サンフランシスコ・香港・シュトゥットガルトで金メダルを獲得した
The Drunken Horse Gin を日本公式サイトからお求めいただけます。

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出典

※ お酒は 20 歳になってから。妊娠中・授乳中の飲酒は赤ちゃんの発育に影響します。飲酒運転は法律で禁止されています。

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