飲食店のジン仕入れ 2026 ― 卸ルート、価格、在庫管理、差別化軸の実務

飲食店でジンを扱うとき、銘柄選びと同じくらい重要なのが 仕入れの設計だ。卸ルート・原価率・在庫管理・差別化の4要素を理解しないと、棚にジンを並べても利益にも記憶にも繋がらない。本記事は、飲食店オーナー・シェフ・ソムリエ向けに、2026年版のジン仕入れ実務を整理する。

ジン仕入れの3つのルート

ルートA: 酒類問屋(業務用卸)

  • 仕組み: 大手・中堅の酒類問屋から定期発注(モトックス、リョーシン、国分など)
  • 強み: 価格安定、配送網広範、定番銘柄は確実に入る、与信枠が広い
  • 弱み: クラフトジンの取扱が限定的、新銘柄追従が遅い
  • 向く店: 定番中心のバー・居酒屋、量重視の業態

ルートB: ブランド直販・国内インポーター

  • 仕組み: 海外クラフトジンの国内総代理店、または蒸留所直販から購入
  • 強み: 最新銘柄・限定ボトルが入る、ブランドのトレーニングやサンプリングを受けやすい
  • 弱み: 単価がやや高い、最低発注ロットが大きい場合あり
  • 向く店: クラフトカクテルバー、ホテルラウンジ、高単価レストラン

ルートC: 並行輸入 / 個人輸入

  • 仕組み: 海外蒸留所から直接または現地問屋を通して輸入
  • 強み: 国内未流通の銘柄、為替次第で大幅に安く買える時期も
  • 弱み: 輸入実務・通関・酒税の手続き、為替リスク、在庫リスク
  • 向く店: 専門性で勝負する独立系バー、年商規模ある経営者

多くの店は A(定番)+ B(クラフト差別化) のハイブリッドが現実解。C は熟練の独立系バーが「独自仕入れの物語」として使う上級者向け。

業務用と消費者用 ― 価格差の構造

同じ銘柄でも、業務用と消費者用で 20〜30% の価格差がある。これは流通段階の違いから生まれる。

価格差の例(Beefeater London Dry, 700ml)

  • 消費者小売価格: 2,500〜3,000円
  • 業務用ボトル価格: 1,800〜2,200円
  • 業務用4Lポット: 12,000〜15,000円 → 1Lあたり3,000〜3,750円

クラフトジンは流通量が小さいため、価格差は10〜20%程度に縮まる。業務用が必ずしも大幅安にならない、というのがクラフト時代の特徴。

原価率の業界相場

  • ジントニック(ジン30ml + トニック120ml): 原価率 15〜20%、単価 900〜1,500円
  • マティーニ(ジン60ml + ベルモット10ml): 原価率 20〜25%、単価 1,200〜2,000円
  • ネグローニ(各30ml): 原価率 22〜28%、単価 1,200〜1,800円
  • クラフトジン使用のジントニック: 原価率 22〜30%、単価 1,500〜2,500円(クラフト分のプレミアム)
  • シグネチャーカクテル: 原価率 18〜22%を狙う(複雑だがロス率低い構造)

原価率を圧縮しすぎると味が劣化し、客の評価で売上が落ちる。30%以下を目安に、ジンの質を妥協しないのが現代の原則。

在庫管理 ― ジンとベルモットで違うルール

ジンの保存

  • 未開封: 常温で数年保存可(蒸留酒なので劣化しにくい)
  • 開封後: 直射日光と高温を避ければ 1〜2年 風味維持
  • 注意点: ボタニカル系(特にコンテンポラリー)は 6ヶ月〜1年で香りが落ち始める。回転を意識

ベルモットの保存

  • 未開封: 常温で1〜2年
  • 開封後: 必ず冷蔵庫。ワインベースなので酸化する
  • 使い切る目安: 1〜3ヶ月。劣化したベルモットはマティーニ全体を台無しにする

トニック・モディファイア

  • トニック: 未開封で半年〜1年、開封後はその日のうちに使い切るのが理想
  • シロップ系(自家製シンプル、ガーニッシュ用): 開封後 1〜2週間 で廃棄

クラフトジン仕入れの注意点

  1. 最低発注ロット: インポーター経由は1ケース(6本)または12本が標準。個人差し入れより少額からスタート可能なブランドも増えている
  2. サンプリングを必ず受ける: 仕入れ前にバーテンダーがテイスティングする体制を作る。説明できないジンは売れない
  3. 在庫リスクの試算: 月の出数 × 平均使用量で、6ヶ月で消化できる量だけ仕入れる
  4. ストーリーの仕入れ: ブランド資料、蒸留所写真、蒸留家インタビューなどを同時に取得(バーで客に話すための素材)
  5. 限定ボトル・季節品: 仕入れる場合は早期発注、在庫枠を別枠で管理

The Drunken Horse Gin の取り扱い・サンプル送付・卸価格については、 法人窓口へお問い合わせください。 個人購入は 日本公式オンラインショップからどうぞ。

差別化軸での仕入れ判断

定番銘柄を揃えた後の 「差別化のための1本」を選ぶときの判断軸は以下の通り。

  • 地理的差別化: 既に置いているジンと産地が被らないこと(ベルギー、北欧、和素材、米西海岸など)
  • スタイル差別化: ロンドンドライ / コンテンポラリー / ジュネヴァ / オールドトムで重ならないこと
  • ストーリー差別化: 説明しやすい物語があるか(受賞歴、蒸留家、地理、ボタニカル独自性)
  • 価格帯差別化: 上下のグレード幅を作る(3,000円帯 / 5,000円帯 / 8,000円帯)
  • ペアリング差別化: 自店の料理・カクテルで活躍する用途があるか

2026年の仕入れトレンド

  • D2C / 直販強化: 海外蒸留所がブランド直販で日本市場に参入するケースが増加。中間マージン削減
  • サンプル送付の容易化: 法人窓口にメールするだけで小瓶サンプルを送ってくれるブランドが増加
  • 少量パック(350ml/500ml): 在庫リスク低減と「お試し」需要の両方に対応
  • サブスクリプション: 月次/四半期で銘柄をローテーション仕入れする仕組み(少数だが登場)
  • 地元クラフトジン: 国内クラフト蒸留所からの直販ネットワーク拡大

まとめ ― 仕入れは経営、銘柄選びだけではない

飲食店のジン仕入れは、銘柄を「選ぶ」より、卸ルート × 原価率 × 在庫管理 × 差別化設計する仕事だ。定番は問屋から安定して入れ、クラフトはインポーター経由で物語と一緒に仕入れる。在庫はジンとベルモットでルールを分け、原価率は30%以下を死守する。

クラフトジンの差別化1本は、地理・スタイル・ストーリー・価格帯・ペアリングのどれかで明確な根拠を持って選ぶ。それができれば、棚に置いたジンは確実に売上と記憶の両方を作る。

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よくある質問

Q. 飲食店のジン仕入れ、どこから買えばいい?

A. 定番は酒類問屋(モトックス、リョーシン、国分等)、クラフトジンはブランド直販・国内インポーター経由が現実解。両方を組み合わせるハイブリッド型が多くの店の標準です。

Q. 業務用と消費者用の価格差は?

A. 定番大手銘柄では20〜30%程度の差。クラフトジンは流通量が小さく価格差は10〜20%程度に縮まります。業務用4L大容量で買うとさらに単価が下がります。

Q. クラフトジンを仕入れる時の最低発注は?

A. インポーター経由は1ケース(6本)または12本が標準。近年は小ロット対応(1〜3本)のブランドも増えています。事前にサンプル送付を依頼してテイスティングしてから決めるのが定石です。

Q. 開封したジンはどのくらい保存できる?

A. ジンは開封後1〜2年は風味維持可能ですが、コンテンポラリー系(ボタニカル豊富)は6ヶ月〜1年で香りが落ち始めるので回転を意識。ベルモットは開封後冷蔵で1〜3ヶ月で使い切るのが理想です。

Q. 原価率の業界相場は?

A. ジントニックは15〜20%、マティーニは20〜25%、ネグローニは22〜28%。クラフトジン使用はプレミアム分を反映して22〜30%が標準。30%以下を目安に質を妥協しないのが現代の原則です。

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※ お酒は20歳になってから。妊娠中・授乳期の飲酒は避けてください。飲酒運転は法律で禁止されています。価格は2026年時点の市場参考値で、銘柄・卸先により変動します。

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